フィリップスがニューヨークで打ち立てた新記録

2026年6月、フィリップス(Phillips)がニューヨークで開催した「New York Watch Auction: XIV」が、同社の過去最高落札総額を更新した。フィリップスは2015年にジュネーブで本格的な腕時計オークションを立ち上げて以来、ロレックスやパテック フィリップ、オーデマ ピゲなど高額時計の取引を牽引してきたハウスだ。第14回目を数えるニューヨーク開催が記録を塗り替えたことは、北米市場における高級時計コレクターの購買意欲が依然として強いことを示している。具体的な落札総額は公式発表に基づくものだが、フィリップスがニューヨークで記録を更新するのはこれが初めてではなく、同シリーズは回を重ねるごとに市場の注目度を高めてきた経緯がある。

ニューヨーク開催が持つオークション市場での位置づけ

フィリップスのニューヨーク・ウォッチ・オークションは、ジュネーブ開催と並ぶ同社の主要セールとして位置づけられている。ジュネーブが欧州・アジア系コレクターの需要を吸収する場だとすれば、ニューヨークは北米の富裕層とグローバルな投資家が交差する舞台だ。過去のセールでは、ロレックスのポールニューマン・デイトナやパテック フィリップのリファレンス 5711など、市場価格を大きく超える落札例が積み重なってきた。今回の「XIV」でも、ロット構成にヴィンテージと現代の人気モデルが混在していたとみられ、複数のロットが事前推定価格を超過して落札されたとフィリップスは発表している。

高額落札を支えるコレクターと投資家の動向

近年の高級時計オークション市場では、純粋なコレクターに加えてオルタナティブ資産として時計を捉える投資家層が参加者に加わっており、落札価格を押し上げる要因になっている。特にロレックスのスポーツモデルやパテック フィリップのコンプリケーション、リシャール・ミルのレアモデルは、実需と投機需要の両面から競られることが多い。フィリップスはクリスティーズやサザビーズと並ぶ三大時計オークションハウスの一角を担うが、時計に特化したキュレーションと事前エスティメートの精度の高さで、専門コレクターからの信頼を積み上げてきたハウスでもある。今回の記録更新は、そうした積み重ねの延長線上にある結果といえる。

日本市場での見通し

フィリップスのオークション結果は、日本国内の二次流通市場にも直接影響を与える。ニューヨークやジュネーブで高値が更新されると、国内のディーラーや質屋・買取店が在庫の値付けを見直す動きが数週間以内に起きるのが市場の通例だ。現在、国内二次流通でのロレックス デイトナ(Ref. 116500LN)の相場はおおむね200万円前後で推移しており、パテック フィリップのノーチラス(Ref. 5711/1A)は入手困難な状態が続いている。投資目線では、フィリップスでの落札実績があるリファレンスは国内市場でも値崩れしにくい傾向があるため、売却タイミングを検討しているコレクターにとって、オークション記録の更新は売り時の一つの目安になる。海外オークション結果のリアルタイム追跡は、国内での売買判断に欠かせない情報源だ。