“What The”が黒でよみがえる
ナイキの"What The"シリーズといえば、複数のカラーウェイやグラフィックをひとつのシューズに詰め込むという、ある種のコレクター向けお祭り企画として知られている。2007年にAir Force 1で初登場して以来、Dunk、LeBron、KDといったモデルへと広がり、スニーカーカルチャーの文脈では「ごちゃ混ぜの美学」として独特の地位を築いてきた。今回発表されたAir Force 1 Low"What The"は、そのスピリットをオールブラックのベースに乗せ、サファリプリント、エレファントプリント、ジュエルアイブランディングを一足に凝縮した一足だ。黒一色に統一しながらも、異なるテクスチャーとグラフィックが表面を覆うという構成は、派手な配色に頼らない分、素材の面白さが前面に出ている。
ブラックベースに重なる三つの顔
サファリプリントはナイキにとってなじみ深いモチーフで、1980年代にエア サファリとして登場して以来、アーカイブ系モデルへの落とし込みが繰り返されてきた。エレファントプリントはジョーダンブランドとの関係が深く、Air Jordan 3のディテールとして1988年に初登場した柄だ。この二つのアニマルテクスチャーがブラックで統一されたアッパーに混在することで、ぱっと見には地味ながら、近づくと情報量が多いという独特の見た目になっている。さらにジュエルアイブランディング、つまりレースホールにジュエル型のハトメを使った仕様は、Air Force 1のヴィンテージ復刻文脈では定番のディテールで、オリジナルへのリスペクトを示す要素として機能している。
Air Force 1が”What The”を選ぶ理由
Air Force 1は1982年にブルース・キルゴアのデザインで誕生したバスケットボールシューズで、NBAで初めてエアユニットを搭載したモデルとして記録される。その後ニューヨークのストリートシーンで独自の文化を形成し、今日に至るまでナイキのアーカイブの中でも特別な存在感を持つ。"What The"という企画がAir Force 1を舞台に選ぶのは、このモデルが長年にわたって膨大なカラーウェイやコラボを蓄積してきたからでもある。ブラックというカラーはAir Force 1において最も定番かつ需要の安定したカラーのひとつであり、そこに複数のアーカイブテクスチャーを重ねることで、コレクター心理をうまくついている。
日本市場での見通し
"What The"シリーズは日本国内でも根強い人気を持ち、過去作はNIKE SNKRSやアトモスなどのセレクトショップ経由でリリースされることが多かった。今回のオールブラックという構成は、派手な配色の前作と比べるとカジュアルに取り入れやすく、国内のスニーカーファン以外のファッション層にも訴求しやすい。二次流通市場では、"What The"のAir Force 1は定価の1.5倍から2倍前後で推移するケースが多く、特に発売直後の転売価格が高騰しやすい傾向がある。日本での定価はAir Force 1 Lowの通常ラインが15,000円台から17,000円台に設定されることが多く、このモデルもそのレンジに収まる形で展開される。投資目線では短期の値上がりを狙うよりも、"What The"というシリーズが持つアーカイブ的な文脈の強さから、長期保有向けの一足として評価できる。