Swatchが問いかけるもの──「What If…Jelly?」コレクションの仕掛け
スウォッチが新しいコレクション「What If…Jelly?」を発表した。ヘッドラインの問い「What If」という表現は、ブランドが現在のデザイン言語をいったん脇に置き、別の可能性を探る姿勢を示している。ジェリーという素材や色彩に着目した企画であることが伝わってくる。スウォッチといえば、1983年にニコラス・G・ハイエックとエルンスト・トミ、ウェリ・フィリッパーが設立した企業として知られ、廉価で親しみやすい腕時計を世に送り出してきた。その設立以来の哲学は「誰もが質の高い時計を手にできる」というものであり、新コレクションもこの方針と無縁ではないはずだ。
ジェリーという素材が持つ可能性
ジェリーの素材といえば、透明感、柔らかさ、軽さが特徴である。腕時計の文脈ではケースやストラップ、さらにはダイアルの一部に透光性のあるポリマー素材が用いられることがある。スウォッチはこうした特性を活かし、従来のプラスチックウォッチとは異なる視覚的・触覚的な体験を意識した企画を展開している。カジュアルウォッチの領域では、こうした素材実験は継続的に行われており、スウォッチのプロダクト開発チームが透光性素材の新しい応用を検討するのは自然な流れといえる。色の深さと透明度の両立は、製造工程で慎重に調整される必要があり、ブランドの技術力が試される部分でもある。
スウォッチのデザイン反復の歩み
1980年代から2000年代にかけて、スウォッチは「ジェリーフィッシュ」など生物や自然現象をモチーフとしたモデルを複数発表してきた。海洋生物や星空、鉱物といったテーマは、若い世代の心をつかみ、コレクター層を形成してきた。「What If…」という問いのかたちは、こうした過去のテーマの系譜を引きながらも、改めてその時代に適切な表現を模索する姿勢を示している。2020年代に入り、サステイナビリティへの関心の高まりや、レトロ・Y2Kといった美意識の再評価があるなかで、ジェリーという素材の再発見は時宜を得たものといえる。
日本市場での見通し
日本国内におけるスウォッチの立場は、インポートされる廉価アイテムというカテゴリーに留まらず、投資対象として認識されるようになってきた。限定コレクションは二次流通で定価の1.5倍から3倍の価格帯で推移することもあり、メルカリやカメラのキタムラなど買い取り専門店でも需要が高い。新作「What If…Jelly?」は欧州での発表から日本への流入まで通常3〜6ヶ月のタイムラグがあり、国内の正規取扱店での販売開始時点では既に海外の二次流通市場で流動している。日本のスウォッチ愛好家は積極的な情報収集層であり、発表直後から詳細スペックの確認や入手ルートの検討を始める傾向にある。このコレクションが限定仕様の場合、国内の入手難易度は相応に高くなる見込みで、早期の予約確保が重要になるだろう。