陰と陽を左右に分けた、ミスマッチという演出

アディダスのバスケットボールシューズ「D.O.N. Issue #8」に、陰陽をテーマにしたカラーウェイが登場した。最大の特徴は、左右の足で異なるカラーリングを採用した、いわゆるミスマッチ仕様である点だ。片足はホワイトを基調とした陽のイメージ、もう片足はブラックを主体とした陰のイメージで構成され、二足揃えて初めてひとつのビジュアルコンセプトが完成する構造になっている。スニーカーの左右非対称デザインはナイキやジョーダンブランドでも採用事例があり、話題性を生む手法として定着しつつある。

D.O.N. Issue シリーズとドノバン・ミッチェルの関係

D.O.N. Issue シリーズは、NBAプレイヤーのドノバン・ミッチェルとアディダスが共同開発するシグネチャーラインだ。D.O.N. はミッチェルのニックネーム「Spida」から派生したものではなく、「Determination Over Negativity」の頭文字を取ったものであり、ミッチェル自身のマインドセットを言葉として落とし込んだネーミングである。Issue #1のリリースは2019年にさかのぼり、毎シーズン新作が投入されてきた。Issue #8はそのシリーズの最新作にあたり、コート上でのパフォーマンス向上を目的としたアップデートが各所に施されている。

ミスマッチ仕様がスニーカー市場に与える文脈

左右で異なる配色を施すミスマッチデザインは、コレクター市場において一定の注目を集めやすい手法だ。単純な別色展開と異なり、ペアとして揃えることに意味が生まれるため、転売市場での取引においてもバラ売りではなくペア単位での流通が前提となる。陰陽という東洋哲学のモチーフは、欧米のストリートシーン・スニーカーシーンでも繰り返し使われてきたテーマであり、視覚的なコントラストが強く写真映えするため、SNSとの相性がよい。アディダスはここ数年、バスケットボールラインでもファッション文脈を意識したカラーウェイを積極的に展開している。

日本市場での見通し

D.O.N. Issue シリーズは日本国内でも正規取扱店やアディダス公式サイトを通じて販売される機会が多く、発売直後の入手難易度はジョーダンブランドの限定モデルほど高くない。ただし、今回のような話題性のあるミスマッチ仕様は、スニーカー系メディアやSNSでの拡散によって初動の需要が集中するケースがある。二次流通市場では、国内の定価に対して1.2倍から1.5倍程度のプレミアムが短期間つくパターンが同シリーズの過去作でも見られた。投資目線で見ると、バスケットボールシグネチャーモデルは長期保有よりも発売直後の短期売買に向いており、陰陽テーマのビジュアル訴求力がそのサイクルを後押しする形になる。国内のスニーカー愛好家にとっては、コレクションの一点として手元に置く価値は十分にある一足だ。