BAPEのSTAにメリージェーンという選択肢

A BATHING APEのSTAシリーズといえば、1990年代から続くブランドの顔とも言えるシルエットだ。アウトソールに刻まれた星とサルのモチーフ、アッパーを彩るスウッシュに似た「STA」ラインは、ストリートシーンで長年にわたって支持されてきた。その定番フォルムに、メリージェーンというフェミニンな要素を組み合わせたのが「Mary Jane STA」である。メリージェーンとは、甲の部分を横断するストラップで足を固定するシューズスタイルのことで、もともとはレディースフットウェアの定番として知られる。STAのローカットシルエットにこの構造を落とし込むことで、これまでのSTAとは異なる表情が生まれている。

ローカットとストラップが作るフォルムの変化

STAシリーズはこれまでハイカットとローカットの両方で展開されてきたが、メリージェーンのデザインはローカットのプロポーションと特に相性がいい。くるぶし周りをすっきり見せつつ、甲のストラップがシューズ全体を引き締める役割を果たす。BAPEのSTAラインは、コートスタイルを連想させるクリーンなアッパー構成を持つため、ストラップという装飾的かつ機能的なディテールが加わることで、ドレスライクな雰囲気とストリートの文脈が混在するスタイリングが成立する。ユニセックスなアイテムが多いBAPEのラインナップにおいて、フェミニンなシルエットを前面に出したモデルは比較的数が少なく、そのぶん差別化が明確だ。

BAPEとジェンダーレスなストリートの流れ

BAPEは1993年に西原弘城(NIGO)が東京・原宿で立ち上げたブランドで、日本発のストリートウェアとして世界的な認知を獲得してきた。2011年にはHongkong IPO Limitedへの買収を経て、現在はブランド運営体制が変わっているものの、カモフラージュ柄やSTA、BAPE SHARKといった看板アイテムは継続して展開されている。近年のストリートシーンでは、特定のジェンダーに限定されないデザイン志向が強まっており、メリージェーンのようにかつてはレディース専用とされていたシルエットがメンズやユニセックス文脈で再解釈されるケースが増えている。Mary Jane STAはその流れの中に位置するモデルとして見ることができる。

日本市場での見通し

国内では原宿・渋谷のBAPE直営店やオンラインストアが主要な購入窓口となる。STAシリーズは定番ゆえに安定した流通量があるが、特定のカラーウェイや限定仕様になると二次流通価格が定価を上回る傾向が続いている。過去のSTAローカットモデルは国内定価で2万円台後半から3万円台前半の価格帯に収まることが多く、Mary Jane STAも同様の価格帯に落ち着く可能性が高い。フェミニンなシルエットを持つSTAという切り口は国内の女性コレクター層を中心に関心を集めやすく、スニーカーの二次流通プラットフォームであるスニーカーダンクやMercariでの取引価格は発売直後に上昇する傾向がある。投資目的での保有を検討するなら、限定カラーや初回ロットの入手を優先するのが国内市場での定石だ。