A-COLD-WALL*とSalomonが組んだACS Proの意味

イギリス人デザイナー、サミュエル・ロスが2015年に立ち上げたA-COLD-WALL*は、建築や工業素材、労働者階級の美学を軸にしたブランドとして、ロンドンのストリートシーンから世界的な注目を集めてきた。一方、フランス・アヌシー発のアウトドアブランドSalomonは、1980年代から本格的なトレイルランニングシューズを手がけ、近年はファッション業界とのコラボレーションを積極的に展開している。両者が初めて手を結んだのが、今回発表されたACS Proを軸にしたコラボレーションだ。

ACS Proというシルエットが選ばれた理由

SalomonのACS Proは、同社のトレイル系テクノロジーを都市環境向けに落とし込んだモデルとして知られる。ラグソールのグリップ感とローカットのシルエットを両立させており、ストリートとアウトドアの中間を埋める存在として支持を集めてきた。A-COLD-WALL*がこのモデルをベースに選んだのは、素材や構造の工業的な側面と自身のブランドコードが重なるからだ。サミュエル・ロスはこれまでにもNikeやStone Islandといったブランドと実績を積んでおり、素材と機能を語れるデザイナーとして信頼を得ている。

両ブランドが積み上げてきたコラボの文脈

Salomonはここ数年、MM6 Maison MargielaやBOTTEGAといったハイファッション系ブランドとのコラボレーションを通じて、スニーカー市場での存在感を急速に高めてきた。A-COLD-WALL*側も、ストリートの文脈に留まらず、よりインダストリアルで実験的な素材使いを追求するフェーズに入っている。今回の組み合わせは、アウトドア機能とロンドン発のポスト・インダストリアル美学というふたつの軸が交差する地点に位置する。ACS Proというモデルを軸にしながら、どこまでA-COLD-WALL*のビジュアル言語が反映されるかが見どころになる。

日本市場での見通し

国内のスニーカー市場では、SalomonのコラボレーションモデルはSTUSSYやMM6との作例が定番化しており、発売直後に定価を大きく上回る二次流通価格がつくケースが続いている。A-COLD-WALL*自体も国内のセレクトショップやオンラインプラットフォームでの扱いがあり、認知度は一定水準に達している。今回のACS Proコラボは、Salomonファン層とA-COLD-WALL*ファン層の双方が狙うモデルになるため、国内での入手難易度は高い水準になる。二次流通では定価の1.5倍から2倍程度の価格帯が相場として形成される展開が見込まれ、投資目線で押さえるなら発売直後の公式チャネルへのアクセスが鍵になる。国内取り扱い店舗はBEAMSやUNITED ARROWSなどのセレクト系、もしくはSalomonの直営チャネルが窓口になる流れが一般的だ。