スプリットトゥという忘れられたデザインの復活
ナイキ エア リフトが2026年夏、「サミットホワイト/スワン」という清潔感のあるカラーリングで復刻される。エア リフトはもともと1996年に登場したモデルで、その最大の特徴は親指とその他の指を分けるスプリットトゥ構造にある。これはケニアのランナーたちが裸足で走るスタイルからインスピレーションを受けて開発されたもので、足指を自然に広げて地面を捉えやすくするという、当時としては異色のアプローチだった。スリッポン式のシルエットと組み合わさったこの構造は、履きやすさと独特のビジュアルを両立していた。
1990年代の文脈と「エア リフト 2」という位置づけ
今回発売されるのは「エア リフト 2」という名称で、オリジナルのエア リフトをベースにしたアップデートモデルとして展開される。1990年代後半、エア リフトはランニングシューズとしてだけでなく、ストリートやカジュアルシーンでも受け入れられた経緯がある。当時の日本でも独自のファンを持っていたモデルで、足袋シューズに通じるシルエットが日本人の感覚にもフィットしやすかった。「エア リフト 2」という世代表記がつくことで、素材やクッショニングに現代的な改良が施されているとみるのが自然だが、そのスペックの詳細は現時点では確認できていない。カラーリングの「サミットホワイト/スワン」は白を基調とした組み合わせで、夏らしい軽やかな印象を持つ。
スプリットトゥがストリートに戻ってくる理由
近年、ナイキはアーカイブから個性的なシルエットを掘り起こすアプローチを繰り返している。エア リフトはその筆頭格とも言えるモデルで、量産型のランニングシューズとは一線を画すビジュアルが、コレクター層や個性派のスニーカーファンに支持されてきた。スプリットトゥという構造はアディダスやニューバランスにはない、ナイキ独自の意匠でもある。2020年代に入ってからのフットウェアシーンでは、トングサンダルやワラーチサンダルなど足指を意識したデザインへの関心が高まっており、エア リフトの復刻はそうした空気感と重なる部分がある。
日本市場での見通し
日本国内でのエア リフト系モデルは、ナイキ公式やセレクトショップ経由での販売が一般的で、通常ラインナップとして展開される場合は定価での入手難易度はそれほど高くない。ただし、クリーンなホワイト系カラーのシーズナルモデルは初動での売り切れが早く、夏前後の需要ピーク時には完売するケースが多い。二次流通市場では、エア リフトの復刻モデルは定価の1.1倍から1.5倍程度の価格帯で流通する傾向にある。投資目線で見ると、エア リフトはナイキの中でも希少性の高いモデルではなく、大きなプレミアムが長期間続くタイプではない。ただし発売直後の短期転売では一定の利ざやが生まれやすく、夏向けカラーということもあり6月から7月にかけての流通量が鍵になる。コレクター視点では、スプリットトゥという構造的な個性を持つ点で保存価値は認められる。