時計収集の世界で、デジタル化による根本的な変化が進行している。従来のアナログ的な楽しみ方が急速に失われていく中で、コレクターたちが直面する新たな課題について、業界の内側から警告の声が上がっています。

SNS時代に変わった「所有」の意味

かつての時計コレクターは、実物を手にして初めて満足感を得ていた。ケースの質感、ムーブメント(機械仕掛け)の音、重量感といった物理的な体験こそが、コレクションの本質だったのです。しかし現在、多くのコレクターにとって時計の価値は、Instagram(インスタグラム)やSNS上でのシェア映え、数値化されたいいね数の多さで測られるようになっています。実際に着用する時間よりも、撮影と投稿に費やす時間が増えているというのが現状で、本来のアナログな喜びが急速に失われつつあると指摘されています。

デジタルアーカイブが失わせるもの

デジタルカタログやオンライン鑑定が普及し、コレクターは対面での専門家相談を避けるようになりました。アプリやクラウド(クラウドストレージ)でコレクション管理が可能になった一方で、時計店での会話、職人の知識継承といった人間関係のネットワークが急速に縮小しています。こうした無形資産の喪失は、長期的には業界全体の衰退につながるとして、懸念の声が上がっています。

時計収集が真に豊かな体験になるには、デジタルツールとアナログな楽しみのバランスを取り戻すことが急務となっています。

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