デニムをパテントレザーで封じ込めるという発想

ナイキのエア フォース 1 ローに、コースタルブルーのデニム素材をグロッシーなパテントレザーで覆った新作が登場した。デニムとパテントレザーという、通常なら交わらない素材を一つのシルエットに落とし込んだ仕様で、ヴァンプからヒールにかけてラッカー状の光沢が全体を支配する。デニムそのものは表面の艶の下に透けて見える形で残されており、素材の質感と光沢が層になっている点が特徴だ。同じコンセプトの過去作として、ナイキはパテントレザーを用いたエア フォース 1を複数展開してきた実績があり、今回はその系譜にデニムという素材感を持ち込んだ構成になっている。

エア フォース 1 ローが積み重ねてきた素材実験

エア フォース 1は1982年にバスケットボールシューズとして誕生し、デザイナーのブルース・キルゴアによって設計された。ソールにエアユニットを搭載した最初のバスケットボールシューズとして知られ、1980年代後半にはストリートで着用されるライフスタイルシューズとして定着した。それ以降、ナイキはこのシルエットを素材実験の場として活用し続けており、レザー・スウェード・メッシュ・ビニールなど多様な素材バリエーションを市場に投入してきた。デニムを使ったエア フォース 1も過去に複数存在し、素材としての親和性はすでに示されている。今回はそこにパテント加工を重ねることで、デニムを「見せながら閉じ込める」という表現を取った。

コースタルブルーという色が持つ文脈

採用されたコースタルブルーは、落ち着いた中間トーンの青で、インディゴ系のデニムとも異なる淡さを持つ。パテント仕上げを通じて見えるブルーは光の当たり方によって表情が変わり、屋内と屋外で異なる顔を持つ。ソールやレースなど細部のカラーリングについては現時点で確認できる情報に限りがあるため詳細は触れないが、ブルーを軸にまとめたトーンオントーンの構成であることはヘッドラインからも読み取れる。パテントレザーのエア フォース 1はフォーマルとカジュアルの中間に位置する独特の佇まいがあり、コースタルブルーというカラーはその特性をさらに方向づけている。

日本市場での見通し

日本市場においてエア フォース 1のパテントレザー仕様は、定番のスムースレザーモデルと比べると流通量が少なく、二次流通での価格は定価を上回るケースが多い。デニム素材とパテント加工を組み合わせた今回のモデルは素材の組み合わせとして珍しく、希少性を好む国内コレクターからの注目度は高い。スニーカーダンクやSTOCKXなどの国内外プラットフォームでの価格動向は発売後数週間で方向性が見えてくるが、パテントレザーのエア フォース 1は過去モデルを見ても一定の値崩れしにくい傾向がある。投資目線では大きな値上がりを期待するモデルではなく、中長期で定価前後から1.2〜1.5倍程度の価格帯で安定する型として位置付けるのが現実的な見方だ。着用前提であれば迷わず定価での確保を優先したい一足といえる。