セイコー プレザージュが採用した「白練」という色

セイコーのプレザージュ(Presage)シリーズに、「白練(しろねり)」と呼ばれる白絹をモチーフにしたダイヤルを持つ新モデルが加わった。白練とは、精錬を重ねた白絹特有の、わずかに温みを帯びた純白のことで、日本の伝統色のひとつとして分類される。プレザージュシリーズはこれまでも、有田焼・漆・七宝焼きといった日本の伝統工芸をダイヤルに取り入れてきた経緯があり、今回の絹インスパイアドダイヤルはその延長線上に位置する試みといえる。

プレザージュというシリーズが積み上げてきたもの

プレザージュは2014年に国内向けブランドの「クレドール」「ガランテ」を再編する形で始まったシリーズではなく、セイコー独自の機械式ラインとして展開されてきたプレミアムレンジだ。日本の職人技術をダイヤルデザインに落とし込む方針を一貫して維持しており、特にクラフツマンシップエディションと呼ばれるラインでは、伝統工芸士や産地と連携したコラボレーションモデルを定期的にリリースしている。ムーブメントにはセイコー製の自動巻き機械式が搭載されており、国産機械式として入門から中級層に広く支持されている。

「絹」をダイヤルに表現するということ

絹の光沢と質感をダイヤルで再現するアプローチは、実際の絹素材を使うわけではなく、加工や仕上げによって視覚的な類似を作り出す手法が一般的だ。プレザージュのこれまでのモデルでも、有田焼ダイヤルでは磁器特有の滑らかさと発色を、漆ダイヤルでは深みのある艶を表現してきた実績がある。白練という色は単純な白ではなく、絹の繊維が持つ微妙な温度感と光の拡散を想起させる色合いで、ダイヤルとして仕上げるには素材選択と光の処理が重要な要素になる。日本の伝統色を時計に落とし込む試みとして、コレクターの間では注目度が高い。

日本市場での見通し

プレザージュのクラフツマンシップ寄りのモデルは、国内定価でおおむね10万円台前半から20万円台の価格帯に収まるケースが多い。このレンジの国産機械式時計は、セイコーブティックや正規代理店での購入が基本となり、人気モデルは発売直後に在庫が薄くなる傾向がある。二次流通市場では、伝統工芸コラボ系のプレザージュは定価を上回る取引が発生することもあるが、限定数量の規模によって価格の動きに差が出る。投資目線で見ると、プレザージュ全体が過熱しているわけではなく、工芸素材やコラボ背景が明確なモデルに選別的な需要が集まる構造になっている。白練ダイヤルは国内外のコレクターに訴求しやすいテーマを持っており、特に海外市場での「日本らしさ」への関心が国内の相場を支える一因になる。