ナイキ エア リフトに宿る、淡い青の記憶
ナイキ エア リフトに「セレスタイン・ブルー」と呼ばれるカラーウェイが登場した。セレスタイン(Celestine)は英語で「天蓝石」や「天青色」を指す言葉で、空や薄氷を思わせる淡く透明感のある青色だ。ヘッドラインにある「アイシー(Icy)」という表現がそのまま色の印象を伝えていて、全体に霜がかかったような、冷たく澄んだトーンに仕上げられている。派手な蛍光色やアース系が多かった近年のエア リフトの展開とは一線を画す、落ち着いたカラーリングといえる。
エア リフトが持つ、分かれた爪先という出自
エア リフトは1996年に初めて登場したモデルで、ケニアのランナーが裸足で走る姿からインスピレーションを得て設計された。最大の特徴は親指と他の四本指を分けるスプリットトゥのシルエットで、足指が自由に動くことを意識した構造になっている。ソールにはナイキ独自のエア クッショニングが搭載され、機能的なランニングシューズとして生まれながらも、そのユニークな見た目がストリートシーンでも注目を集めた。2000年代に一度生産が終了した後、2019年前後に復刻されてから再びコレクターの間での人気が高まった。
淡い青が引き出す、リフト特有のフォルムの面白さ
エア リフトのアッパーはメッシュと合成素材で構成されることが多く、素材自体に透け感や軽さがある。セレスタイン・ブルーのような淡いカラーはそのメッシュの編み目や立体的なシルエットをより際立たせる効果があり、無彩色や白に近い色ほどモデルの造形の面白さが前に出る。実際、エア リフトはソールのボリュームとスプリットトゥの独特な輪郭が見た目のすべてといってもよいモデルなので、柄や派手な色で覆うより、淡い単色のほうがデザインの輪郭をはっきりと見せる。今回のカラーはそういった意味でモデルの特性と噛み合っている。
日本市場での見通し
エア リフトは日本でも根強いファンを持つモデルで、ナイキのオンラインストアやセレクトショップを通じた国内展開の実績がある。復刻以降、定番カラーの定価は概ね1万円台前半から中盤の価格帯で推移しており、限定色や特別なコラボレーションでない通常展開であれば、発売直後の二次流通価格は定価の1.2倍から1.5倍程度に落ち着く傾向がある。セレスタイン・ブルーのような季節感のあるカラーはリセール市場での長期的な値上がりより、発売直後の短期的なプレミアムが中心となる。投資目線よりも純粋に着用やコレクションを目的とした購入が主流で、入手難易度は限定スニーカーとしては比較的穏やかな水準に収まりやすい。