ホンコンの時計オークションで複雑機構の傑作が集結する。フィリップスの春季オークション「ザ・ホンコン・ウォッチ・オークション:XXII」が5月30日から31日にかけて開催される。大手ブランドの複雑機構(コンプリケーション)に加え、注目のインディペンデント・ウォッチメーカーの作品も多数出品される予定だ。

時計製造の芸術性が前面に

今回のオークションで特に注目されるのは、単なる機械的な複雑さだけではなく、時計製造の芸術的側面を表現した作品群の充実度だ。宝石細工(ジェムセッティング)、琺瑯(ほうろう)装飾、手彫り加工、木象嵌(もくぞうがん)といった技法を駆使した時計が数多く並ぶ。これらは機械式時計が単なる道具ではなく、職人の技と美意識が結晶した芸術作品であることを改めて証明している。特に手作業による装飾技術を継承するブランドの作品は、デジタル化が進む現代だからこそ価値が高まっているといえるだろう。

ジャケ・ドロー「マジック・ロータス・オートマトン」

同オークションの注目作品の一つが、歴史的時計メーカー・ジャケ・ドロー(Jaquet Droz)による「マジック・ロータス・オートマトン」だ。18世紀の天才オートマタ職人ピエール・ジャケ・ドロー(1721年~1790年)の流れを汲むこのブランドは、ラ・ショー・ド・フォン地方発祥の時計製造の伝統を今に伝えている。自動装置(オートマトン)を備えた時計は収集家の間でも特に人気が高く、精密機械としての完成度と視覚的な驚きを兼ね備えた傑作として評価されている。

ホンコンは世界の時計コレクターが集まる重要なマーケットであり、このオークションの結果は世界的なトレンドを示す指標となる。

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